2014年11月16日日曜日

Googleは「公平な場で競争がしたい」

マット先生がブログに実にいい記事を書いていたのでご紹介。
2013年半ば、サーバー間でのXMPPについてGoogle社内で討論していた頃にマット先生が社内向けに書いたものだそうです。
ざっくり言うとこんな感じ。
“「悪を成さない」のも大切だけど、「公平な場で競争していく」意識がさらに大切なのでは。
現状で守りに入らないで、常に競争相手と対等に殴りあえる環境を保とう。
ユーザーに謙虚に向き合えるし、いつも気を抜かずにベストを尽くせるから。”
・・・なにこのかっこいいラスボス思考。
データエクスポートでユーザーへの価値提供+自身の引き締めを双方とも達成してる辺りが流石。 

翻訳+一部リンク先からの説明を追記してます。
あと(実名は伏せる)の悪人ってどこでしょうね。顔で本のところでしょうけど。

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Googleは「公平な場で競争がしたい」

Googleは設立当初から“悪を成さない”という原則を発表している。
2006年にはエリック・シュミットが以下のように明言した。
“Googleはユーザーのデータを囲い込んだりしない。
ユーザーがGoogleでの検索履歴をエクスポートし、Yahoo!で利用したいなら喜んで協力する”
僕が思うに、GoogleのDNAにはもう一つ、まだ明文化されていない原則が埋め込まれている。
「Googleは公平な場で競争がしたい」のだ。

公平な場での競争はメリットベースで、我々は真摯に取り組まないとならない。
Googleより優れた検索エンジンが出現すれば、ユーザーはすぐそちらに流れる。
だからこそ、我々は常に検索結果の改善方法を追求する必要がある。

同じような理由で、ユーザーがGoogleを見限る可能性があるからこそ、
我々は優れた製品の開発によるユーザーのロイヤルティ獲得に真摯に取り組める。
データツールによるユーザーデータ出力によって、ユーザーはGmail/カレンダー/Google Docs/広告キャンペーンまで、ビジネス用のあらゆるデータを他に移転することができる。
だからこそ我々は謙虚でいられるし、真摯に働き続けることができる。
我々は公平な場に対して製品を提供する努力をしなければいけないし、
だからこそ常に最良の製品・サービスを提供するというインセンティブを維持できる。

Chrome/Androidの重要性も、「公平な場を求める姿勢」から一部説明できる。
Chromeが無ければGoogleはIEなどのブラウザに依存することになる。
Androidが無ければ端末メーカーによってGoogleが遮断されることもありうる。
Chrome/AndroidによってユーザーはGoogleに邪魔されずに接続できる。
他社の「不公平な可能性がある場」から保護できるわけだ。

Open Webプラットフォームは、Google関係者にとって「極めて公平な場」の代表だ。
Google関係者が「クローズドプラットフォーム」「自社規格」「相互運用性に欠ける製品」を嫌うのもそのためだ。
「公平な場で公正に競争したい」という欲求があるため、自然とオープンな基準・プロトコルや相互運用性にたどり着くことになる。

相互運用に消極的だが、近年成功を収めている企業もある。
ある企業(実名は伏せる)は、Gmailからコンタクト情報を吸い取れるが、その逆は拒否している。
気がかりなのは、ここから「公平な場において、データを自由に提供しても悪人のカモにされるだけ」という誤った教訓を導くことだ。
「我々はよりよい行動を促進する方法を考え出すべき」。これこそが得るべき教訓だ。
一例として、Googleはコンタクト情報のエクスポートに相互性を要求することにした。

Googleの上層部には、「ユーザーに美しい、潤滑な体験を」という明確なビジョンがある。
僕もそれは極めて大事なことだと思うが、同時に「機能的である」ことという点も重要だ。
「機能的」とは「ダウンタイムが無い・常に動作する・速い・ユーザーの求めるものを提供できる」ということ。
「美しい、潤滑な体験」は「機能的」という基礎の上に成立すべき、というのが僕の信念だ。
多くのGoogle関係者にとって、「機能的」には規格・プロトコルのオープン性、相互運用可能、そして「公平な場」が含まれているはずだ。

Googleは”オープン性”・“透明性”・“公平な場”といったネットの原則を実によく推進してきた。
「公平な場での競争を」は「悪を成さない」原則から導き出されるものだ。
だが、皆「Googleは公平な場での競争をしたい」点を認識し、強調したほうがいいのではないか。
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