初代スーパーマリオ世代でない人にはややわかりにくいかもしれないけれど、そこはご勘弁を。
SMX advancedでGaryさんがこんなことを言っていたそうな。
「RankBrainのおかげで、”マリオを攻略記事(walkthrough)抜きでクリアできる?”といったクエリに満足な答えが出せる」
このクエリで検索すると、なかなか芸が細かいことをしています。
ここで注意が必要なのが、walkthroughという単語。単純に「攻略記事」だと思っていると、RankBrainさんの良さがわからなくなります。
Walkthroughはこんな感じの、初めから終わりまで手取り足取り教えてくれるタイプの詳細攻略です。初めのクリボーの倒し方から丁寧に教えてくれます。
クリアまでの道のりを全部案内してくれるので便利は便利ですが、これを見てクリアしちゃうというのはちょっと味気ない。
”マリオをwalkthrough抜きでクリアできる?”というクエリには、「クリアはしたいけど、walkthroughに頼るのはちょっと...」という繊細なゲーマー心が見て取れます。
しかし、通常の検索エンジンではそうした機微には対応できません。
こうした例で引き合いに出すのも申し訳ないのですが、Bingさんの場合1位からがっつりWalkthroughをお出ししてます。おそらくこんな流れかと。
① 「can i beat Mario Bros without using a walkthrough」から、withoutなどのストップワードを除外
② 「beat Mario Bros walkthorough」あたりを有効なクエリとして抽出
③ walkthroughが検索結果に出る
RankBrainなしのGoogleさんも、多分似たようなことになっていたのでしょう。
それに対して、RankBrain入りGoogleさんは、「この文章では"without"を除外してはいけない」と判断できます。
そして、検索結果では「Cheat」を紹介するという粋な計らいをしています。
Cheatといっても日本で言うチートコード(改造コード)とは違います。
「ここのノコノコで無限1up」とか「ワープ土管の場所」とかの、攻略のコツを紹介するだけのものです。例えば1位のここ。
これなら、ユーザー自身で攻略方法を考える余地もあります。
「クリアはしたいけど、walkthroughに頼るのはちょっと...」という方にはとてもいい回答でしょう。
以上、Google先生のちょっと粋な計らいでした。
■おまけ
RankBrain関連記事で見かけた、ちょっと切ない話。
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David 'Pablo' Cohn (元Google社員)
「Googleでの最初の2年(2002年~2004年ごろ?)にサーチクオリティに所属していたとき、検索品質改善に機械学習を使えないか試していた。しかしその時点では機械学習よりも、”Amit Shinghal(元検索部門トップ)のアイデアをそのままハードコーディングする”ことが最善の手法だった。」
Jeff Dean(Google シニアフェロー、伝説のプログラマー)
「2014年にランキングチームと“(機械学習が)どんな成果をもたらすか試してみるべきだ”ということを何度も話し合った。ニューラルネットを利用してスコアを算出し、使い物になるかどうか試してみよう、と。」
実験の結果は良好で、2015年4月にRankBrainを導入。現在ではすべてのクエリの処理にRankBrainが介入し、その大半では順位への影響をもたらす。
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そして2016年2月にAmit氏は退職し、次の検索部門トップにはAI部門のJG氏が。
Amitさんファンとしては少し切ない。